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子どもたちの灯りとジャズの夜
今日はお店から離れて、心に残ったひとときを記してみます。先日訪れた「横浜旭ジャズまつり」。夜の会場に並んでいたのは、子どもたちが手作りしたキャンドルの灯りでした。 グラスの中で小さく揺れる炎は、ジャズの音色と寄り添うようにリズムを刻み、夜... -
─畳に映える「脚付き膳」のはなし
漆塗りの脚付き膳を畳に据え、おむすびと汁椀をのせました。お膳は小さな食卓。けれど一枚の板と四本の脚に、じつに長い時間が宿っています。 そもそも日本の食卓は、ひとり一膳が原点でした。平安の頃の「折敷(おしき)」という板が武家社会で台(うてな... -
―玄関を照らす、スパイダー咲きの菊
今週の玄関には、糸のように細い花びらを四方に伸ばした スパイダー咲きの洋菊 を一輪。淡い桃色から白へと移ろう色彩は、朝の光をすくいとるようで、通りがかった方の足取りまで軽やかにしてくれる気がいたします。 菊は古来より「不老長寿の花」とされ、... -
晩夏のひと碗、秋を待ちながら
八月の終わり、陽ざしはまだ強く、蝉の声も盛んに響いております。けれども、朝夕に吹く風の中には、ほんの少し涼しさが混じりはじめ、夏の名残と秋の予感が交わる季節となりました。 黒釉に赤の景色を宿す茶碗を前に、竹の茶杓から抹茶の緑がふわりと落ち... -
星に願う夜、旧暦の七夕
八月に入り、暦の上では秋を迎えたとはいえ、まだまだ夏の暑さは続いております。そんな中で訪れるのが「旧暦の七夕」でございます。七夕といえば七月七日と覚えている方も多いのですが、本来は旧暦で行われていた行事でありました。 旧暦の七夕は、ちょう... -
一服のあいだの絵巻物
本日はお道具の中から一碗。やわらかな土肌に、のびやかに描かれた兎と蛙。ひと筆書きのような墨の線が、生き生きと動いて見えるのです。兎はしなやかに跳び、蛙はどっこいしょと腕を振り上げて追いかける。その姿は、まるで今にも声が聞こえてきそうなほ... -
お盆の名残、透かし鬼灯の静かな美しさ
お盆の間に飾っていた鬼灯を、そのまま透かし鬼灯にしてみました。鮮やかな赤い実を包んでいた袋は、時を経て繊細な網目模様となり、まるで自然が編んだレースのよう。お盆には精霊を導く灯りとして飾られる鬼灯ですが、こうして透かし鬼灯になってからも... -
木の知恵が生む丸い美しさ ― 球断器の物語 ―
本日は、和菓子の世界でもあまり目にすることのない道具をひとつ、ご紹介いたします。その名は「球断器(きゅうだんき)」。木の板に丸い溝が彫られただけの、なんとも素朴な姿ですが、実は職人にとっては欠かせない道具のひとつでございます。 団子や白玉... -
幸運を呼ぶ竹ではない竹
店内に飾ってある「ラッキーバンブー」。開店の際にいただいたものです。その名のとおり竹の仲間かと思いきや、実は竹ではなく「ドラセナ」という観葉植物でございます。アフリカのカメルーンが原産とのこと。亜熱帯の森に自生していたものが、いまやこう... -
玄関の小さな迎え花
今日は玄関に、白い薔薇をひと枝活けました。薔薇と申しますと華やかな花ですが、茶花の世界では「禁花」とされております。香りが強すぎることや、棘を持つこと、そして何よりその艶やかさが、茶室の静けさには似つかわしくないとされるのです。 茶花の心...
