朝から、工房いっぱいに小豆の甘い香りが立ちこめています。
夏場は気温や湿度に気を遣いながら炊くので、まるで天気予報士のような気分です。
さて、せっかくなので、餡子にまつわる豆知識をひとつ。
実は「餡(あん)」という言葉、元々は中国語で「詰め物」を意味するんです。お肉や野菜を包んだ餃子の中身も“餡”と呼びますよね。日本では奈良時代に伝わり、やがて小豆や砂糖を使った甘い餡が広まりました。
小豆の栄養価も侮れません。ポリフェノールは赤ワイン並みに多く、食物繊維もたっぷり。しかも砂糖と一緒に煮ることで保存性も高まり、江戸時代には長旅の携帯食としても重宝されたそうです。
今日仕込んでいるのは、北海道十勝産の小豆を使った「つぶあん」。
皮の食感を生かしつつ、口当たりがなめらかになるよう、煮崩れのタイミングを見極めます。火加減ひとつで、香りも色も変わってしまうので、つきっきりでお鍋と対話。炊き上がった瞬間、ふわっと立つ香りは、何度経験しても心が躍ります。
今日もこの餡子で、お客様に笑顔をお届けできますように。
甘い香りに包まれた一日でした。
