白い実に宿る秋のしらせ

灯りのそばに生けた一枝、白い小さな実をつけた「スノーベリー」。和名では「雪晃木(セッコウボク)」と呼ばれ、秋の訪れを知らせる植物のひとつでございます。まるで雪の玉を縮めたような実は、北国の冬を先取りしたかのように静かな気配を漂わせ、眺めていると心がすっと澄んでまいります。

スノーベリーは北アメリカ原産の落葉低木で、夏に花を咲かせ、秋に入るとこうした白い実を結びます。食用ではなく観賞用の実ですが、その軽やかな質感や可憐な姿は、古くから花器や庭を彩る素材として愛されてきました。

秋草の穂とともに活けてみますと、白い実の丸みと、しなやかな曲線とが呼応し、まるで季節そのものを映したよう。まだ暑さの残る日もありますが、この枝先には確かに秋の兆しが宿っております。

自然の小さな変化に目をとめることで、私たちは季節の歩みを感じ取り、心をやわらかに整えてゆけるのかもしれません。

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