甘い縁結び ― 盆の入りのおはぎ

今日は「盆の入り」。
朝からお店の前を通るお客様の手には、菊の花やほおずき、そしてお供え用のお菓子が見えます。お盆になると、おはぎを買い求める方がぐっと増えるのは、やはり日本の習わしの力でしょうか。

お盆はご先祖様の霊を迎える大切な行事ですが、「盆の入り」はその初日。迎え火を焚き、ご先祖様が迷わず帰ってこられるようにします。おはぎが供えられる理由は諸説ありますが、小豆の赤色には古くから邪気を払う力があると信じられてきました。また、もち米のねばりは「縁を結ぶ」ことにも通じ、先祖と子孫を結ぶ象徴ともいわれます。

おはぎとぼたもちの違いをご存じでしょうか。実は材料はほぼ同じで、春の彼岸は「ぼたもち(牡丹餅)」、秋の彼岸は「おはぎ(お萩)」と呼び分けます。お盆の時期は夏ですが、呼び方は地域や店によってまちまち。当店では通年「おはぎ」としてお出ししています。

じっくり炊き上げた自家製の粒あんは、北海道産小豆をゆっくり煮て、自然な甘さを引き出しました。もち米は新潟県の契約農家から取り寄せた「こがねもち」。餅米の王様と呼ばれる最高級の餅米を、少し粒を残す蒸し加減で炊くことで、噛むほどに甘みと香りが広がります。お盆の静かな時間に、心をこめた一皿をお供えいただけたらと思います。

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