玄関の小さな迎え花

今日は玄関に、白い薔薇をひと枝活けました。
薔薇と申しますと華やかな花ですが、茶花の世界では「禁花」とされております。
香りが強すぎることや、棘を持つこと、そして何よりその艶やかさが、茶室の静けさには似つかわしくないとされるのです。

茶花の心得は「野にあるがごとく」。
椿は寒い時期の定番で、ぽってりとした蕾が凛とした風情を添えます。
夏には桔梗や撫子、秋にはすすきやわれもこう。いずれも派手さはなく、自然に咲くままの姿を大切にしてきたのだそうです。

それに比べて薔薇はあまりに華美。けれど、まだ開ききらぬ白い蕾をそっと玄関に置いてみると、思いのほか清らかで、訪れるお客様をやわらかく迎えてくれる気がいたしました。

禁じられた花であっても、場所を変えればふさわしい姿となるもの。
花も人も、それぞれに立つ場を得てこそ、その魅力を生かせるのだと感じた一日でございます。

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