今日は、涼しげな灰色の小壺に、ほうずきを二房、そっと活けました。
この鮮やかな橙色は、まるで小さな提灯のよう。昔から「鬼灯(ほおずき)」と呼ばれ、お盆には精霊を導く灯りに見立てられてきました。提灯に似た形と色は、帰ってくるご先祖様が迷わぬよう照らす目印だとか。
ほうずきは、実は食べられる種類もありますが、この観賞用は観る専用。袋の中には赤い実があり、熟すと中の種がカラカラと音を立て、まるで小さな風鈴のような涼やかさを運びます。
昔の子どもたちは、この実を口に含み、上手に鳴らして遊んだそうで、まさに夏の思い出のひとつ。今は飾りとして、仏前にも、涼を呼ぶ一輪挿しにも、季節の彩りを添えてくれます。
お盆は、静かに時を重ねる行事。ほうずきの灯りを見ながら、遠い日々の人々を想う…そんなひとときも、夏の贅沢ではないでしょうか。
