むかしむかし——といっても江戸の真ん中ごろ。
人々の間で、甘い餡をふっくら柔らかな餅で包んだお菓子が評判になりました。
その名は「腹太餅(はらぶともち)」。
お腹いっぱいになるほど餡が詰まっていることから、そう呼ばれていたそうです。
やがて縁起の良い言葉にあやかって、「大腹」から「大福」へと名を変え、
祝い事にも欠かせない菓子として愛されるようになりました。
時は流れて明治時代。
西洋から黒い香り高き飲み物、コーヒーがやってきます。
最初は上流階級や洋食店の特別な味でしたが、
昭和に入ると喫茶店文化が花開き、やがて“カフェオレ”というやさしい飲み方が登場します。
コーヒーのほろ苦さと牛乳のまろやかさ——
その組み合わせは、多くの日本人の心をつかみました。
そして平成のはじめ。
和と洋を自由に組み合わせる創作菓子が次々に生まれます。
抹茶のティラミス、あんこ入りパフェ、そして——
「コーヒー味の白餡」に「ミルク入りクリーム」を包んだ“カフェオレ大福”が誕生しました。
口に入れると、まず求肥のやさしい甘み、
次にふわりと広がるコーヒーの香ばしさ。
最後にミルクのコクがまろやかに包み込む——
まさに江戸の知恵と西洋の香りがひとつになった小さな贅沢。
いまでは土産菓子や専門店の看板商品として、
全国で愛される和洋折衷スイーツとなったカフェオレ大福。
その一粒には、二つの文化がゆっくりと溶け合った、百年以上の物語が詰まっているのです。
当店のカフェオレ大福のクリームは2種類の乳脂肪分のちがう生クリームを配合し、コクがあるのにさっぱりしたクリームに仕上げています。
お茶にもコーヒーにもあう和菓子「カフェオレ大福」午後のひとときに。
